日立市久慈町の住宅街にひっそりとたたずむ「アロマセラピーサロン エフ」は、5年前から店を構え、隠れ家的スペースのサロンとして人気を集めています。植物療法であるアロマセラピーは、ハーブや果実などの天然の植物から抽出した精油を、嗅覚・触覚の2つの感覚で利用し、心と身体のバランスを整えるもの。今回は、2児の母でもあり、サロンオーナーでもある大村さんに、そんな魅力的なアロマセラピーの仕事についてお話を伺いました。
オリーブオイルとの出会い
「アロマをはじめたきっかけを話したら、笑われちゃうかも...。」 と語る大村さんは、今から8年前に、とにかく手に職をつけたいという思いで、本屋の資格関連の書籍を目の前に、1冊の本を手に取った。
「あの時は、特に何がやりたいという思いは無かったですね。」 唯一、アロマの本を手に取ったきっかけがあるとすれば、その数年前のオリーブオイルとの出会いが大きいという。「オリーブオイルで皮膚をこそげ落としてください」、その当時通っていた皮膚科の先生に言われた一言に、カルチャーショックを受けた。いったいこのオリーブオイルって何?という思いで調べまくった。そして、ひょんな事からめぐり合った天然オイルが、アロマへの興味へとつながった。
仕事を持とうと考えた時、ハローワークにもずいぶん通った。何の技量も持ちあわせていなかった自分にできることといえば、事務ぐらい。
「でも、実際、自分が事務員として働いている姿を想像した時、思い描けないというか、ピンとこなかったんですよ。親も姉妹も、自分で店を経営していたためか、独立思考は自然だったのかも...。」
アロマセラピーに始まった興味は、いつのまにか他のさまざまな自然療法への興味へ広がり、学校やセミナーへ足を運び、とにかく本を読み勉強した。リンパドレナージュ、深層心理、エステティック、東洋医学、西洋医学など、寝る時間を惜しんでも知りたいと思った。そして、自然界と人間の身体の精妙な働きを知れば知るほど不思議であり、これらの知識を織り交ぜたサロンを創りあげた。
香りを利用して、お客様の本当の状態を知る...
「アロマについて細かいことを話したらキリがないけれど、基本的には天然のオイル(精油)を使って、マッサージをするイメージですね。」 精油には、それぞれに様々な作用があり、鎮静、鎮痛、抗ウィルス、抗菌、虫除けなど、薬のような感覚もあるのだという。だた、薬と違うところは、有機化合物だということ。欧米では、代替医療の一つとして医療の現場でも多く取り入れられているのだそうだ。
「その日の状態によって、人は香りの感じ方が違うんです。体に休息が欲しい状態のときにはある香りを良いと感じ、反対にそうでないときにはそれがイヤな香りと感じる。その人のその時の状態によって、嫌だと感じたものも、良い香りに感じたりするんですよ。だから、はじめに香りを選んでもらうんです」 アロマでは、香りを利用して、自分では気づかない本当の状態を探すことが重要であり、これらの気づきを、その日のお土産として持ち帰っていただきたいのだと語る。
「マッサージという言葉を使うと、”ほぐす”という感覚だと思われますよね。確かにほぐす部分もあるのですが、アロマでは、経路に沿って指を走らせ、滞っている流れを正常に流すという感じなんですよ。川だって、流れが悪ければ水も濁ってきますよね。」 体の中にたまっている老廃物や毒素は、リンパにのせて排出される仕組みになっているため、良い流れに戻すことも目的のひとつだという。五感へ働きかけることのできるアロマセラピーは、リラクゼーション効果はもちろん、自然治癒力と免疫力を高め、心と身体のバランスを整えていくのだという。
にこやかな顔になって帰っていただきたい
「来店されたときと帰るときで、別人のように顔が変わる方もいるんです。からだの疲れは気にするけれど、顔が疲れているって意外と気づかない方が多いんですよ。フェイシャルって聞くと、一般的には肌をきれいにするイメージなんだと思いますが、実はそれだけではないんです。」 脳に一番近い顔は、神経系の疲れが表れやすい。「疲れた顔してるね〜」とか「うれしそうな顔してるね」など、よくいう言葉だが、顔のマッサージをする事は自律神経のバランスを整える事にもつながるのだとか。
「疲れがとれると、自然と顔立ちが明るくにこやかになるのには驚きます。言葉使いまで変わる方もいるぐらいですから。」 と、すぐに確認できるほどの効果を感じることも少なくないという。
肌に触れる仕事だから、教えるのには限りがある

アロマセラピーの資格が取得できる認定校として、先生としても活躍しているそうだが...。
「カリキュラムに沿って教えるのは簡単ですけど、この仕事は肌で感じる仕事。感覚を教えるのには限りがあるかなって思うこともあります。そんな思いもあって、私がやってみせて、相手もやってみることができる、少人数制の教室でじっくりやるのが私流ですね。でも自分は、教えるよりマッサージをやっていたほうが性に合っているかな。肌に触れるこの仕事が好きだし、その瞬間が一番楽しいんですよ。」 そんな、彼女が教えてきた生徒さんの達の中には、自分や家族の為に学んだ人もいれば、店舗を構えて独立し、同じ舞台で活躍している同士もいるそうだ。
みんないい顔を向けてくれる
「私は、いいお客様に恵まれているんです。どちらがお客さんか分らなくなるときもあるんですよ。”海外で受けてきためずらしいマッサージが良かったから、ちょっとやってあげるわ。確かこんな感じだったわよ”なんて、反対にお客様にマッサージしていただいたり...。そんな感じで、お客様に育てていただいている部分もたくさんありますね。」
その後、お客様から披露されたマッサージに興味をもった彼女は、その手技も新たに学び、メニューに取り入れたそうだ。お客様に可愛がられるのは、そんなひたむきな一生懸命さを知っているからなのだろう。
「友達にいわれたんですよ。人は相手によって、いろいろな顔を持っているもので、同じ人でもいい人になる事もあれば、そうでなくなることもあるって。エフに訪れるお客様は、皆、いい顔のほうだけ向けてくれるんだねって。そう言われたらうれしくなっちゃって。思いは伝わるんですね。」
今後は...
「この仕事は、人の心と身体に深く関係している -触れる事で感じ、触れる事で癒す- 人とのふれあいによって生まれている仕事です。私が今後目指すものとしては、人間性豊かな感じられるアロマセラピストをたくさん育ててゆくこと。そして、アロマセラピーがもっと身近にたくさんの人に知っていただけるような活動をしていきたいと思っています。たくさんの笑顔があふれるように...」