「そうか!俺がやるんだ! 友人の一言でやる気になれた。」

2006/10/11 VOL.46
ティックスポーツフィールド 古市 学さん

 日立市茂宮町。常磐道日立南インターにほど近く、国道293号を海の方角へ向かうと、広々とした田園風景が続きます。そんな国道の小道を入ったところに、突然現れるフットサル場。カエルの合唱の応援を受けながら、日夜フットサルを楽しむ人々が集う。フットサルスクール、リーグ戦が連日繰り広げられているという、ティックスポーツフィールドの古市学さんに、お話を伺いました。

 大学時代はサッカー、卒業後は旅行会社の海外駐在員

 元は営業マンだったという経歴を持つ古市さん。大学時代はサッカーに打ち込む日々を送っていたが、怪我で靭帯を痛め選手の道を諦めたという苦い思いがある。大学を卒業後、東京の旅行会社に就職、3日後には海外駐在員としてサンフランシスコへ渡った。旅行会社へ決めたのは、とにかく海外へ行きたいという野望があったから。

 「あの時は、海外駐在員募集の広告を見て即応募ですよ。親に就職の報告をしたのも海外に行ってからだから、きっとびっくりしたんじゃないかな。」

 ロサンゼルス支社への転勤を経験した後、地元茨城へUターン。水戸の旅行会社で数年勤めた後。現在のフットサル場経営の前身となるサッカー合宿の外国遠征をプロデュースする旅行会社を設立。海外赴任で培った経験と人脈、そして自分の得意分野であるサッカーとビジネスをうまく融合しての独立。

 ちょうどその頃、水戸ホーリーホックの立ち上げ話が地元サッカー関係者で盛り上がり、チーム立ち上げ役員としても関わっていたのだという。

 「独立して、ある程度の時間的な余裕もあったんですよ。あの頃は地元で有勢なプリマハムの選手達を次のステップへ導いてあげたいという勢いがありました。水戸といえば水戸黄門。印籠にある葵の葉を象徴にしたロゴマークや、その葵の葉を英語読みにしたチーム名など、水戸にJリーグのチームを作るという一大プロジェクトでした。」

 2001年9月11日。転機が突然...

 サッカーには携わりつつも、この頃はまだ「旅行会社」の経営。独立した旅行会社は順調に軌道に乗っていた。そんな折、2001年9月の世界貿易センタービルのテロ事件で転機が突然訪れた。

 「海外への合宿遠征といえば、春休みや夏休みに予約が集中するんですが、事件直後、春合宿の予定が全てキャンセルになってしまったんですね。ヨーロッパ方面への遠征を主としていたんですが、今後は海外遠征そのものが敬遠されるようになる...。この事業はダメだと思いましたね。」

 方向転換の決断は早かった。旅行会社をたたみ、すぐさま次の事業計画。そして3ヶ月後にはフットサル場の着工、翌2002年4月にはオープンの運びとなる。

 「2002年はワールドカップの開催年でしたから、日本でも急速にサッカーへの関心が高まりはじめた頃ですよ。」

 誰かがやらなきゃ...

 災いが功を奏したとでもいうのか、地域ではいち早くフットサル場を開くことになった。

 「ヨーロッパでは、少し歩くとすばらしい芝のグランドが所々にあって、夏は夜でも9時ごろまで日が沈まないから子供も大人も集まって誰でも運動できる。そんな最高のグランドをいつか日本にも再現させたい、とずっと思っていたんです。」

 とはいえ、これほどまでに早い決断ができたのは、背中を押してくれた友人の一言があったから。

 「誰かがやらなきゃ変わらないんだよ。」

 そうか!俺がやるんだ!この一言でやる気になれた。

 「ヨーロッパのグランドを再現するまでは及ばなかったんですけど、とりあえず皆が楽しめるグランドづくりは成功したかなって感じです。」

 オープン当初は、8チームを集めての木曜リーグ開催からのスタートだったが、今や毎日のようにリーグ戦が繰り広げられ、登録チームは200チームにもなった。子供や女性向けのフットサルスクールでも指導者として活躍。指導には厳しいが、遊び心をうまく使った夢中になれる教え方には定評がある。

 人生はリセット、やり直しがきくもの...

 仕事も趣味もサッカーで、遊びの延長だろう...。時たま、そんな声が耳に入る事もある。

 「ただ純粋に、サッカーが好きなすべての人に憩いの場となれる所を造ってあげたい。さらに楽しさの術を教えてあげたい。そして、地域が子供達を育てて行くという理念を実現したいんです」と、語る口調には力が入る。

 今、何がやりたいのか分らない人って結構いますが?

 「ともかく何かをやってみることじゃないかな。人生はリセット、やり直しがきくものだし。ただ、勉強だけはおろそかにしないほうがいいかな。リセットしようと思ったとき、道が多くできるから。」
 自分を含め、今まで見てきた若者達を見て、つくづく思うのだという。
 「サッカーが好きな人なら、それに関われる仕事はたくさんあるんじゃないかな。」

 サッカー現場その周辺では、
  • 監督(JFA主催の公認S級コーチのライセンスを取得後、総合的な資質を判断され、理事会から認定される)
  • トレーナー(マッサージやケガの予防、治療やテーピング、体調管理などを受け持つ)
  • FIFA公認エージェント(選手の移籍交渉などをまとめる代理人)
サッカー業界団体では、
  • JFA(日本サッカーの頂点に位置する統括組織)
  • UEFA(全ヨーロッパの各国サッカー協会を統括する組織)
  • AFC(全アジアの各国サッカー協会を統括する組織)
  • EAFF(東アジアの各国サッカー協会が自発的に設立した組織)、
その他にもサッカー関連商品を扱う仕事など、決して選手という形だけではない、とも言います。

 いくつもの道を辿ってきた古市さん。今後の夢は、子供から大人まで皆で盛り上げてゆけるトップクラブチームをつくること。そして、サッカーに携わる人達を応援していくこと。今後も、サッカーを通じた楽しさを地域の皆で共有して発展してゆけることでしょう。