水戸市元吉田町にあるビーズショップ「Asian Bloom(アジアンブルーム)」。落ちついた雰囲気の店内には、種類ごとに分けられたビーズや天然石が数多く並べられています。ものづくりが大好きというオーナー自らが作った木製の棚には、完成品のアクセサリーが飾られ、それはもう立派なジュエリーとでもいえる豪華さも感じられます。今回は、そんな素敵な空間の実店舗「Asian Bloom」と、石の卸売りネットショップ「亜花玉」の2店舗を運営しているKIYOKOさんにお話を伺いました。
始まりは「自分のお店を持ちたい」という気持ちから

調理師学校卒業という経歴を持つKIYOKOさん。卒業後は就職はせずにレストランやホテルでアルバイトをしながら自分の道を模索していたという。
「アルバイトではお客さんとの触れ合いが楽しかったですね。でも、ふとした瞬間、もっと自分にしかできない仕事はないだろうか?なんて考えはじめ、自分の能力が生かせるやりがいのある仕事を見つけたいって気持ちが強く沸いてきたんです。」
学生時代から自分のお店を持ちたいという思いが強く、調理の勉強はしてみたものの、道は見えなかった。そんな時、「インターネットでお店をやろうよ」という本に出会う。
「やっと自分のやりたいことを見つけた瞬間でした。」
ネットショップを立ち上げようとは決まったけれど「さて、何を売ろう?」って状態に。
「若いときはもがいていましたね。何か見つけなきゃって焦ったり。でも、もがかないよりはもがいた方絶対に何かが見えるんですよ。私の場合、自分にできることから探していくのが先でしたね。」
ビーズアクセサリーを売ろう。10年くらい前に一度作ったことのあるビーズアクセサリーを売ることに決まった。それから独学でパソコンを学びHPを作成。販売する作品を自分で作りネットショップで販売するというスタイルに。
「当時まだブームでは無かったビーズアクセサリーの販売売り上げは、月に3〜4万円程度。フリーターの身ということで周囲の風当たりは強かったですよ。でも、自分のやりたいことを楽しくできる、それが何より自分のエネルギー源でしたね。」
多くの人に見てもらいたいから

間もなく、ビーズアクセサリーブームが興り、TVチャンピオンの『ビーズアート選手権』に出場する機会が訪れた。テレビに出た事で名も知られ、ブームの絶頂という事もあってか、オーダーに対して一つ一つ手作りをすることが難しくなってくる。問い合わせが殺到し、お客さんを待たせてしまう状況に...。
そんな時、ふとしたお客さんの一言が売り方を一変させた。
「『半年も待つなら自分でも作ってみたい』という意見をお客さんからもらったんです。それで作り方の説明書をつけてビーズとセットにして売ることにしました。今の販売スタイルの元はこんなところからだったんです。」
ちょうどこの頃、ビーズの作り方教室も定期的に開催するようになっていた。受講待ちの人が続出し、ビーズ教室と販売・作成の両立が厳しい状態に。しかし、「実店舗オープン」への気持ちが高まったのもこの頃だという。
「いつか実店舗を出したい。という夢はあったものの、ビーズブームの流れに乗ってよいのだろうか迷いました。でも、店舗を持つなら今がチャンスということも感じていましたね。」
しかし、思いつきだけでは実店舗は持てない。自分の力にもっと自信がつくまでネットショップだけで下積みをしたいという思いが強かった。
「それで1〜2年考えていたよりも遅くなってしまったんですけどね。お店を出す後押しになったのはビーズ教室の生徒さんのくれた『お店出してください!』という言葉でした。」
デザインをする中で、ビーズだけでなく、天然石に魅力を感じるようになってきた。現在は日本の市場だけでなく海外へ石の仕入れに行くようになった。
「日本の市場は値段が高くて、お客さんにどうしても安く提供する事が難しかったんです。あまり高いと買う人が限られてしまう。もっと多くの人に私のデザインに触れて欲しいという思いから、手探りで海外に仕入れに行くようになりました。」
腕の見せ所です

海外仕入れでは業者とのすれ違いは当たり前。同じ石でも産地や石のどの部分かによって色に違いが出てしまう。今でも変わらないことだが、届いてみると思っていたようなものでないことや不良品もあるという。日本人とは価値観が違うからなかなか思いが伝わらないことも。初めのうちは信頼できる業者選びにとても苦労したという。
「石ってひとつとして同じものがないんですよ。それが石の魅力でもあるのですが。最近は予定外の石がが届いてもそんなに動じなくなりました。それもまた私にとって新たなデザイン材料になるからです。一つだけ見ていてはイメージの湧かないものでも、他の石やビーズとの組み合わせで素敵な一品として形になる。そんなイメージを提案していく事でお客さんが喜んでくれるのはやっぱり嬉しいですね。」
海外への仕入れは年に5回程度。異国の地での仕入れがうまくいっているのには現地での協力者がいるからだ。今となっては、欠かせない存在となる仕入れの助っ人は、香港に初めて行ったときの通訳者。当時、不良品に対して自分以上に怒ってくれた彼女は、今では行く度に連絡を取るほど信頼できる人物だ。
作ることが何でも大好きなKIYOKOさん。しかし仕事で行き詰ることも。
「人間だからいつも良い状況ではいられないんですけど、良い状態を保つことは大切ですね。作るタイミング、休むタイミングも最近なんとなく分かってきました。作品は突然ぱっと作れてしまうものもあれば、考え考えやっと作るという場合もあります。私にとって大事なことは作る時のわくわく感。これを実感しながら作った作品はとても良いものに仕上がることが多い気がします。だからこのわくわく感をあまり感じられなくなったときは行き詰まったりストレスを感じている時。自分と向き合うようにしています。」
そんな時、無理はしない。ふっと時間を見つけては好きな地へ旅行にでかけたり...一番好きな場所でパワーを補給してくることも必要だという。
チャンスを掴める自分でいること...
現在ビーズブームはだいぶ落ち着いてしまったが、ネットショップと、実店舗の運営は順調。
「今年から石の卸売りを始めたので、これからは一般のお客さんだけでなく個人のデザイナーさんなど幅広い方々に私の選んだ石を提供していくことが目標です。面白い材料は良いデザインの発想の源になるので。」

今後は拠点を東京へ移すことも検討中。水戸の街や現在の社員たちと離れてしまうことは寂しいが、東京に行くことでこれまでにないデザインに出会い、自分にない物に触れるチャンスにもなるだろうという。
「いつもアンテナを張ってエネルギッシュでいることが大事です。常に何かを求めている自分でいると、運は自分に味方してくれる気がします。同じ事をやっていても、心持ちが違うだけでチャンスに気づくことができたり、自分で何かをつかめたりすることってありますよね。だからいつも前を向いている自分でいることが大切なんじゃないかな。」
そんなメッセージを残してくれたKIYOKOさんは、今後も新しい道に向かって進み続けることでしょう。時には、自分の道ってなんだろう?と、何かを追い続けるのも必要なのかもしれませんね。