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自らもリストラして仲間と作った会社です


2001/11/27 VOL.3

株式会社ワイズアンドテクノロジー 
鈴木 伸治さん

鈴木 伸治
Shinji Suzuki

茨城県出身。
昭和38年5月10日生まれのO型。
影響を受けた本は「7つの習慣」・「ほほえみ読本」

●学歴
茨城県立下妻第一高等学校卒業〜学校法人大原簿記高等学校卒業

●職歴
1984年 (株)システムラディクス入社
1986年 (株)データマティック入社
1988年 (株)ジェイアール・ビィ取締役就任
2000年 (株)ワイズアンドテクノロジー設立


株式会社ワイズアンドテクノロジー
WiZZ&Technology

●設立
平成13年6月
●業務内容
「人にやさしいシステムづくり」をスローガンとして、システム開発・ハードウェア―ロジスティクスを事業のコアとしている。
●社是
人にやさしいシステムづくり うれしい たのしい やさしい
●社訓
大きな声であいさつのできる人になる
●方針
SIベンダーとして「日本一」の知識を持ち・知恵を使い・行動をおこせる組織を目指す。


ワイズアンドテクノロジーURL
http://www.wizz-tech.co.jp









システムロジスティクスの提供

―社名ワイズアンドテクノロジーの、ワイズ(wizz)はどういう意味ですか?

WISE(知恵・知識・かしこい)をもとに作った、当社の造語です。
「zz」にしたのは、コンピューターは、ご存知のように2進法の世界で、そのゼロのZから。またアルファベットの最後の文字ということで、最後までという意味も込めています。

―会社の雰囲気がとてもカジュアルで、シリコンバレーのハイテクベンチャーのようですね。

はい。開発という仕事は、頭を使ったり、知識を吸収したりする時間が長いので、リラックスして、仕事のできる環境を提供したいと考えています。但しお客様の所へ伺うときは日本の商習慣にあわせてスーツとネクタイを着用します。

―サービス内容にシステムロジスティクスとありますが、どんな意味ですか?

「パソコンなどのシステムに関して、システマティックに流通を管理する」という意味です。ロジスティクはもともと「兵站」と訳されるように、「戦争における武器や食糧の供給・輸送」のことですが、そこから転じて「物流・流通を検証し、最適化する」ことを意味するようになりました。
ロジスティクスという言葉は実に広い意味を持ち、製品の流通加工や保管、在庫の管理、仕分け、配送、データ管理、すべてがその範囲に含まれます。
また、全体を業務システムとして設計/開発することまで意味する場合もあります。当社は、ソフト開発からはじまって、パソコン本体(ホワイトボックス)を組み立て、システムのインストールを行い、ユーザーに発送するまでの一連のロジスティクスを請け負います。

―そういった需要はパソコンの納期が短くなり、バージョンアップが頻繁に行われる市場の変化を反映して いるのでしょうか?

大量のパソコンをカスタマイズして、ユーザーまでお届けする作業は、特に時間とコストの制約が厳しい分野であり、そこに私達のサービスの意味があります。スピーディにローコストで対応しなければ競争力を失ってしまいます。
当社はそういった、企業のシステムのロジスティックをお手伝いすることによって企業の競争力をたかめるソリューションを提供していると言えます。OEMの需要も多いですよ。 代表的なお客様には、日産自動車様、日本テレコム様、リコー様、カテナ様等があります。

素晴らしき創業のきっかけ

―独立は昨年(2000年)6月ですね。会社を立ち上げられた経緯を教えてください。

僕自身がコンピュータ業界の出身で、もともとシステム開発の仕事をしていましたのでコンピュータの仕事で起業するのは自然の成り行きでした。前職はコンピューターの販売会社で経営にたずさわっていました。 その会社の状況が思わしくなくなって、人件費コスト圧縮のためのリストラを決定された時、自分も社員と一緒にやめる決意をしました。自分だけ会社に残るのは生き方に反していました。そして、自らもリストラしたわけです。その仲間達と起こした会社が当社です。

―衝撃的なきっかけですね。創業にはご苦労されたでしょう。

会社を起こしたはいいが、社員に払うお給料のめどが立ちません。「3ヶ月以内に何とかするから待ってくれ」と話はしましたが、不安を感じる人は無理に引きとめることはしませんでした。人生の選択は個人の自由ですから。 そして、会社設立の朝、なんとその全員が私の前にいてくれました。決して美談にするつもりはないのですが、18年仕事してきてあんなに感動したことは無かった。起業家冥利につきますね。もう、びっくりしました。 素晴らしい出来事でした。

―そういった素晴らしい出来事をきっかけに創業というのでは、社員のモチベーション(仕事の動機)はかなり高かったでしょう。

こういう風に会社を起こすのは、意図してできることではありません。社員のあつい支持に支えられ、私は仕事に対する不安がほとんどありませんでした。事業計画書を手に株主を探しまわったり、銀行に融資をお願いにうかがう時も、自信をもって臨むことができました。勿論社員の仕事に対する情熱はとてつもなく、会社を軌道に乗せるこ とに一丸となっていました。初めてすぐは数十万円程度、昨年の10月でも200万円くらいだった売上も、半年で何十倍に伸びました。社員全員がエンジニアでセールスマンで、猛烈に営業しました。

ベンチャーの適性?

―平均年齢も随分若い様です。社員とのコミュニケーションのこつは?

だいたい僕は聞くことに徹しています。スタッフの仕事を、じっと見ていて、じっと聞いて、問題に対して最終のジャッジをする。つまり、結論、処理の方法を選んであげるのが仕事です。しかし彼らは大概、ちゃんと自分なりの結論は出 しているのでそれを引き出してあげればいいのですが。

―お仕事のポリシーを教えてください。

僕が考えるSEのSは,システムの意味だけでなく、サポート、セールスを含みます。システムを構築できて、サポートが十分で、モノの売れるエンジニアこそが、当社のSEで、その考え方を社員に徹底しています。

―どういった人がベンチャー企業に向いていますか?

私が考える、変革者、創造者の資質は、"よそ者・若者・馬鹿者"です。
"よそ者"とは、客観的にものが見える人、"若者"とはバイタリティーに溢れている人、"馬鹿者"は「これをやるんだ!」と決意したらまっしぐらの人のこと(笑)起業家には新しい視点でものを見て、アイディアをつぎこみ、それを糧にパワフルに、目的にまっしぐらに走る能力が必要です。私は、特によそ者を大切にしています。たとえば組織がマンネリ化した時にも、自分たちが作ってしまった既成概念を変えるのは"よそ者"です。経営者は、その声を拾って気付かなくてはならない。

人材についてのポリシー

―人材についてのお考えを教えてください。

人材の材は本来は財産の財です。「即戦力のある人材」とよく求人紙などで見ますがそれは本来ありえないと思い ます。新しい会社に移ってすぐ仕事の出来る人間などいません。企業は人を財として、投資し育てなくてはならないと思います。日本のアウトソーシングとは、企業が人を育てることを放棄していること、個人的にはそう考えています。 自分たちで育てようと思う意志は大切です。人が企業を育て、産業を育てる最も大切な財なのです。

―人材を企業が育てる努力をしないとどのような事態を招くと思われますか?

このまま企業が人を育てることをしなくなれば、日本の産業はますます空洞化する恐れがあります。それはハイテク 産業であればあるほど顕著でしょう。戦後50年、日本人はがむしゃらに頑張った、そして今がある。人を育て産業を 地道に育てる努力をいとわなかったからです。それを忘れてしまって、現状に安穏とし、安易な道を選び続ければ、 空洞化は果てしなく続くでしょう。だからこそ人を育てなきゃいけない。コンピュータ業界は確かに変化が早く、競争も 厳しい。人を育て、産業を育て、と悠長に構えては、変化に遅れてしまうんじゃないか・・・そのあせりが、地に足のつ かない産業を生み出しつつある。もっとじっくり地に足をつけていかなくては。

 

新しい展開

―これから新たなビジネス展開を考えられていますか?

異業種では考えていません。コンピュータシステムとハードウェア、この二つが僕達の専門ですから、これを基盤に何かとは考えています。具体的には介護とITの業際ビジネスです。たとえば、乗っている人のデータを発信したり、筋 肉を退化させないプログラムが搭載されている車イス、家族が入院患者の様子を見ることができる介護カメラのようなシステム、そういったものを開発したい。

―介護分野にご興味をもったきっかけは何ですか?

実は5年前に義弟を「筋ジストロフィー」という難病で亡くしています。その年に母も亡くし、生きている時に何もしてあげられなかったことをとても後悔しているのです。介護への関心はそういう個人的なところからでています。

―鈴木社長は「つくばホットライン」という学生のための事業もされています。その目的についてお聞かせください。

学生時代に、社会とは何かを学ぶ機会は本当に少ない。そのせいで日本の学生は随分出遅れてしまう。 最近インターンシップ制度などが注目されていますが、この事業も目的は同じで、企業と学生の掛け橋的な仕組みです。学生に会社の疑似体験を積んでもらう。テーマを与えて、機械を貸し、場を提供し、事業の経験をさせる。

―地域活動の一環なのでしょうか?

地元つくばでは、IT推進のためにも色々と知恵を出させていただいています。つくば出身ですので、つくばへの思い入れは強いです。

―大変多忙な鈴木社長ですが、最後に休日の過ごし方など教えてください。

ガーデニングは結構好きですね。子供と遊んだり・・・趣味は特に無いです。しいて言えばビジネスプランを考えた  り絵にしたりすることが好きです。24時間仕事から離れられない。下手したら夢の中でも仕事しているかもしれません (笑)

インタビューを終えて

京セラの創業会長稲盛和夫が事業をはじめるときのきっかけを「動機善なりしか?私心ありあしか?(正しい思いか?自分の利益ではなくその事業をしたいのか?)」という内省に答えを出せたときと言っています。また自身の生き方を敬天愛人(天を敬い、人を愛する)ことにつきるとも言っています。
鈴木社長は、意図せずその境地にいます。事業の動機は、リストラされた仲間を何とか助けたいという義侠心、そして、自分の身近な人間に対する愛情と、そこに私心はみじんも感じられません。勿論、綿密に練られたビジネスプランがあるとは思いますが、根っこに人がいて、人間の自然な感情に訴える普遍的な必然性もある。これは、望んでも得られないことであり、人を動かすきっかけとしては、最高のものでしょう。
どんな魅力的な事業計画も、ストックオプションもふっとぶものそれが、こういった心を動かすものなのです。
ただ、同じ体験をしてもそれをポジティブに自分の生き方に転化できる人間のみがそれを可能にするのであり、運だけではなく、その能力も必要になります。「事業はまず人ありき」という考え方も、特にIT分野ではドラスティックなビジネスモデル型の起業が増えているなかで、きわめてオーソドックスでスタッフが安心して会社に身を任せられる考え方です。
人を動かすパワーがみなぎるベンチャーが茨城にも生まれ育っている。これはとても素晴らしく嬉しいことです。人生をかけるに足る会社でしょう。