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いろんな人との出会いが、僕の財産です
2002/09/3 VOL.15
CAFE PIQUE-NIQUE 奥澤裕之さん


奥澤 裕之
Hiroyuki Okuzawa

茨城県結城市出身。
昭和43年6月17日生まれ。マメな性格のA型。
影響を受けた人物は、パトリス・ジュリアン(暮らしのアートを実践するフランスのアーティスト。レストラン経営をはじめ衣食住から芸術まで手掛けるマルチ人間)。
趣味は、音楽鑑賞、大工、海遊び(サーフィン暦15年)

■学歴
栃木県立小山高等学校卒

■職歴
調理師・店長職など。・・・ラーメン屋(3年半)〜和食(半年)〜フレンチレストラン(4年)〜タイ・ベトナム料理店〜独立


カフェ・ピクニック
CAFE PIQUE-NIQUE

平成11年より業務開始。
移動販売のカフェ。現在は水戸市、結城市を中心に活動中。
当面は内原町にある家具店「ホームシック」で営業しています。

⇒ホームシックでの運営日時
営業日/毎週火曜、第2、4土・日曜
営業時間/11:00〜19:00

地元の結城市では色々なイベントにも出向いています。10月26日(土)結城市でフリーマーケット開催予定。洋服から雑貨、野菜まで何でもあり。手作りの一点物も多く出店します。

■お問い合わせ
携帯電話:090-3499-5598

 









⇒ピクニックでは、カプチーノを注文すると、「デザインカプチーノ」と呼ばれる模様を描いてくれる



 喜んでもらうだけでなく感動させたい 

―社会人になってから、コックとしてお仕事されてきた奥澤さんが、カフェを始めようと思われたのはなぜですか?

地元で新しいことを始めたいという気持ちが常々あったのと、暮らしのアートを実践するアーティスト『パトリス・ジュリアン』の存在を知り、感動し、影響を受けたんですね。彼の考える世界はまさに僕の理想通りのもので、僕も何らかの形で、自分を表現するスペース(カフェ)を経営してみたいと思いました。

―パトリス・ジュリアンというと衣食住をアートとして捉え、暮らしを豊かにするプロデューサーとして活躍されている方ですね。奥澤さんも料理だけでなくそういったものに興味があったんですか?

僕を含め、長年料理ばかりしてきた人というのは、他のレストランに行ってもお皿の料理しか見えなくなってしまいがちなんですが、僕は昔からインテリアや雑貨が好きで、テーブルから椅子、食器やクロスの色の組み合わせという、"食事をする空間"がとても気になり、興味深く見てしまう所なんです。

―理想とするカフェスタイルは?

カフェやレストランでおいしいものを出すのは当たり前のことですから、そこに僕なりのこだわりをプラスして、グラスの選び方やテーブルのセッティングなどから、居心地の良い空間の提供をしていきたいです。
だから、"移動販売"といっても、どんな場所でもいいわけじゃないし、イメージに合った場所を探して、僕自身のカフェを開きたいと思っています。
そして来てくれたお客さんには、喜んでもらうだけじゃなくて、感動してもらいたいんです。この仕事は決して生活に余裕ができるわけでもないし、実際大変なんですけど、そういった目的での創意工夫は、自分にとって決して損にはなっていないと思うので、そんな気持ちでずっと仕事を続けていきたいですね。

 移動カフェへのこだわり 

―お店を持たず車で移動するスタイルを選んだのはなぜでしょう?

地元でお店を開くとなると土地柄などの問題もあって、実際に商売として成り立つかと考えたとき、良い答えは出ませんでした。それだったらあちこち移動をして、お客様は何を考え、求めているかということをマーケティングしながらカフェを開こうと思ったんです。それにお店を一つ持ってカフェを開くよりも、移動して一日だけでもいいからいろいろな環境でカフェを開いた方が自分にとっても刺激になるし、たくさんの人との出会いが、将来店舗を持った時に、来てもらえるチャンスにもなりますから。

―白いバス型のワーゲンが、とても印象的ですね。

これは「ワーゲンtype2」という車で1966年式のものですが、エンジンもちゃんとオーバーホールしてもらったので、トラブルもないしどこへでも行けますよ。取り付けてあった内装も外して、全て自分で作ったんです。「こんなキッチンがあったらな」って、お客さんに夢を持って帰ってもらいたいので、いろいろな角度からチェックして印象良く見えるように心掛けています。

―車の中だけのスペースでメニューを作ることは大変じゃありませんか?

うーん、でももう慣れましたね。できるだけ使いやすいように工夫もしているし、慣れると何てことないですよ。大変なのはこの中で本格的な料理も作りたいと思ってしまうこと。僕自身料理の経験があるし、お客さんに食べてみたいと言われると、フランス料理でも何でも、なんとかして作りたくなっちゃうんです。でもガス台もないし限界があるので、サンドイッチや作れる限りのものでガマンしてるんですけどね(笑)

―食器類も素敵なものばかりですが、どういった所で購入されるのですか?

将来、作家としてデビューを目指す友達の作品だったり、あとは外国に行ったときに購入したものです。基本的には気に入ったものを大事に長く使いたいと思っています。今回は家具を扱っているホームシックさんの前でオープンしているので、テーブルと椅子はお借りしていますが、普段はそのお店の雰囲気に合った椅子やテーブルなど、全部持ち歩いたりもしています。イメージに合ったものがなければ、大工仕事も好きなのでよく作ったりしています。

―景色まで含めた、全体の雰囲気を大切にしていらっしゃるんですね。

洋服と一緒ですよね。例えば初対面の人でも、着ている服や持ち物などで、その人の趣味、嗜好が分かってしまうところってあるじゃないですか。やっぱり僕のお店を一目見て気になるお店だな、行ってみたいな、と思ってもらいたいですから。

―奥澤さんのカフェは見るだけでも十分楽しめますね。見る楽しみというものを改めて感じました。

例えば家具が欲しいけれど、どうせ買えないからと、最初からどこにも足を運ばないのは、もったいないですよね。見るだけでもいいと思うんです。映画や建物でも、何でも良いものはいっぱい見たほうがいいですよ。見て何かを感じる。人間にとって大事なことだと思います。



 仕事を楽しむということ 

―夏季限定のカフェをオープンされていたようですが。

益子町にある「スターネット」という、ギャラリー&カフェの森の中で、週末の夜だけカフェを開いていました。森の中に僕の車と大きなバーカウンター、椅子とテーブルを置いて、灯りは焚き火とロウソクだけ。静かで雰囲気があって、自分もお客として行きたかったくらい(笑)
8月いっぱいで終わってしまいましたが、その雰囲気は来た人にしか味わえないし、多分その人の心にも残ると思うんです。そんなお客さんの心に残るカフェを、これからも考えて実現させていきたいです。

―いろいろな場所でカフェを開いていますね。なかでも印象に残っていることは?

仕事で大阪にもよく行くのですが、大阪の友達から「高知に知り合いがいるから行ってみれば?」と言われて、出向いたことがあります。
その方たちは全然知らない初対面の僕のことを歓迎してくれて、自宅に泊めてくれました。僕はそのお礼に、庭をお借りして、その方たちだけの為に一晩だけカフェを開いたんです。エスニック料理店のパーティーでのお仕事を紹介してもらったり、皆さん本当に親切にしてくれて、とても楽しかったです。
いろいろな所へ行って、いろいろな人と出会えるということは、僕にとって財産みたいなものです。

―とても楽しそうにお仕事されていますね。好きなお仕事をされているからでしょうか?

僕はどんな仕事をしていたとしても、その中で楽しみを見つけられるんです。どうせ仕事をするなら、楽しんで仕事をしたいですからね。仕事って、がんばり次第で何だってできるし、キツイと思う仕事だとしても、考え方を少し変えれば、楽しみは見つけられると思うんです。
ラクそうだと言われる移動カフェも、実際はいろいろ大変なんですよ。だけどその中でも楽しみはいろいろありますからね。

 「自分ができること」に自信を持つ 

―休日にはサーフィンをされているとか。

サーフィンは好きですね。最近は忙しくてなかなか行けないのですが、時間を作りながらずっと続けていきたいと思っています。以前ハワイに行った時に、海でおじいちゃんと孫みたいな子が一緒にサーフィンしているのを見かけた時は、いい光景だなって思いました。自分が年をとっても、友達と「海にでも行こうか」というノリをずっと持っていたいし、自分の子供や孫にも海の楽しさを教えていきたいですね。

―奥澤さんの夢があったら教えてください。

ほんとうに夢なんですが、小さな村のようなものを作りたいと思っています。大きくなるとテーマパークと呼ばれるものになるのですが、それよりずっと小さなイメージのものです。
一つの道があって、両脇にカフェやレストラン、パン屋や花屋などのお店が並んでいるんです。子供からお年寄りまで、家族みんなが楽しめるように、子供は専用の遊び場、大人は雑貨を見たり、疲れたらお茶したりして、夕方はみんなで食事ができるような所です。僕と同じ気持ちを持った人たちが集まって、それぞれの得意分野を活かして作り上げていく。そんな人たちと一緒に働きたいですね。近くににそんな所があれば考えなかったけど、ないから作りたくなっちゃたんです(笑)。

―最後にジョビジョバ読者の方にメッセージをお願いします。

社会に対して、飛び抜けて上手じゃないけども、僕はこれができます、この仕事がやりたいです、というふうに自分をどんどん表現してアピールしてほしいと思います。「自分はこういう人間です」と証明する時、若い人ならそれは"可能性"だったりするけど、僕らの年になると"経験"というものがアピールポイントになってしまう。だから自分はこれができるんだ、ということを自信を持って認識することが必要なんです。そういう部分を伸ばしていってほしいですね。決して難しいことじゃないと思います。









 

 


インタビューを終えて

私が知っている移動販売といえば、「焼き鳥屋」「アイスクリーム屋」「八百屋」「ラーメン屋」「さおだけ屋」??いずれも、にぎやかな音楽で登場してくるイメージがあります。

しかし、移動カフェ『PIQUE-NIQUE』がたたずむその空間では、コーヒーを入れるマシンの音や、風に吹かれるままの葉の音が心地良いBGMになり、パラソルの下を吹き抜ける爽やかな風が暑さを吹き飛ばしてくれて、テーブルの上の草花に心をホッと和ませられるという、癒しのひと時を味わうことができました。
これらの「隠し味」が加わったことによって、それだけでも十分においしいコーヒーは、よりおいしく感じられ、改めてお茶をするという楽しさを実感。まさかこんなにカワイイ「カフェ」があったんなんて・・・!私の中にある女心を捉えるには十分でした。

限られたスペースで椅子を回しながら食器を洗い、手際よくコーヒーを作る奥澤さん。真剣だけれど、あえてそれを見せず、笑顔で接客をしている姿は、さすがプロです。
奥澤さんは、「今、人が何を求めているか」、「何をすればお客さんが感動してくれるのか」を常に考え、見抜いて、豊かな感性と持ち前の「隠し味」で、これからも人を引きつける魅力的なお仕事を実現されていくのではないでしょうか。(猿田)