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作る人も、食べる人も幸せにしてくれる
そんなお菓子の喜びを伝えたい
2002/11/5 VOL.16
夢工房 永盛裕子さん


永盛 裕子
Yuko Nagamori

茨城県石岡市出身。
3月20日生まれのAB型。ご主人とお子様3人の、5人家族。
趣味は「インテリアや園芸の本などを読むこと」と、「ガラス小物や布・皿などの収集」。
影響を受けた人物は、藤野真紀子(料理研究家)・曽野綾子(作家)。
自分の性格は、「かたずけ魔で楽天家。基本的には真面目」。

■学歴
日本大学短期大学文科卒業

■職歴
23歳まで銀行のOL〜24歳で結婚〜以後13年間専業主婦〜37歳の時に自宅にて洋菓子教室を開き、現在に至る


夢工房
YUME KOUBOU

1997年11月より業務開始。

1グループ5人で1ヶ月に1回のレッスンをしています。焼き菓子などを1種類、デザート菓子を1種類、2種2品を一緒に作ります。試食として、残りは持ち帰りとなります。
自宅でのレッスンですので生活全般をみせることになります。フラワーアレンジやテーブルセッティング、収納工夫などのアドバイスもしています。各種イベントや雑貨店なども紹介しています。生徒さんが楽しめるような教室を心がけています。

■お問い合わせ
〒310-0836
水戸市元吉田町1143-11
TEL:029-247-7806(13:00〜20:00まで)

 







 身近な材料で作れるレシピを考案 

―『夢工房』の教室内容を教えてください。

自宅でお菓子教室を月に8回開催しています。1グループ5〜6名で、8グループ40人の生徒さんに、毎月一回の教室で、焼き菓子とデザートの2種類の作り方を紹介しています。

―教室を始めたきっかけは?

私の作ったお菓子が、主人の会社の若い女の子たちからとても好評で「ぜひ教えてほしい」と言われたのが始まりでした。その頃はきちんとしたレシピもないし、材料費もきっちり割るようなサークル感覚で、1年半くらい続けていました。その後しばらく休んでいましたが、「教えてほしい」という依頼が度々ありまして、5年前に正式に教室としてスタートしました。

―教室で紹介するお菓子のレシピは、どのようにして考えるのですか?

私自身、毎月1回、東京のお菓子教室に通っています。本格的に教室を始めるには、やはり自己流ではよくないと思ったからです。
東京の教室では、先生が海外で勉強してきたお菓子を習うのですが、本場の味を出す為に、茨城では手に入りにくい材料を使うことが多いんですよ。そのレシピをそのまま私の教室で紹介するとなると、材料を揃えるだけで手間もお金もかかってしまいますよね。ですから東京の教室で習ったものをベースにして、できるだけ味を変えずに、身近な材料で作れるレシピを考えて、生徒さんに紹介しています。

―では、一度ご自分で材料をアレンジしているんですね。それを考えるのも、大変そうですが。

そうですね。試作の繰り返しです。例えば今日の教室で紹介したタルトは、配合を変えたりして6台も試作を作りました。味が変わってしまうので、試作の時も分量は変えずに作っているから、いつもたくさんできてしまうんです。
それを試食する家族も慣れたもので、なかなか的確な批評をしてくれるんですが、何度も同じ味のケーキを食べさせられる側は飽きてしまいますよね。しつこく子供達を追いかけて食べてもらうと、「もうそのケーキは見たくない」ってよく言われてしまいます(笑)

 忙しい日常でも、お菓子を楽しむゆとりを 

―もともとお菓子作りは好きだったんですか?

好きだったんでしょうね。小さい頃は、仕事していた母に代わって、祖母がよく手作りのおやつを作ってくれたんです。そういった影響もあるのだと思います。一番夢中で作っていた中学生の頃は、お菓子作りに憧れてケーキやパイやシュークリーム、何でも作っていました。

―料理教室という道もあったと思いますが、なぜお菓子教室を選んだのでしょう。

お菓子には夢があると思いませんか?昔から、私にとってお菓子は、憧れの存在でした。 お菓子は、作る人も食べる人も幸せにしてくれる。その喜びを伝えたいと考えたから、お菓子教室の仕事を選んだんです。
お菓子を楽しむには、気持ちや時間にゆとりがないとできません。忙しい日常の中でも、お茶やお菓子を楽しむゆとりを持っていただけたらと思っています。

―他にどのような活動をされているのですか?

年に一回のペースで、手作りのお菓子を買ってもらえる場を作り、売上金を寄付する活動をしています。去年は知り合いと共同して、手作りのアートやお菓子、押し花などを展示した展示会を開き、今年8月にはお花屋さんの一部スペースを借りて、7日間限定のカフェを開きました。
毎日メニューを変えて1日5台、全部で35種類のケーキを焼いたので、ちょっとハードだったんですが、お客さんにとても喜んでもらえたので、達成感がありましたね。

―教室を運営している中で、永盛さん自身が楽しんでいることなどありますか?

やはり、いろんな方と出会えること。そして喜んでもらえるというところですね。仕事を持っている生徒さんも多いので、自分とは別の分野の話が聞けるし、人とのつながりが広がって楽しいです。人が好きな性格だからこそ、またできる仕事だと思います。

―ご自宅での教室だと、プライベートでの生活全般を見せることになるから、リビングやキッチンなどインテリアにも気を使いますね。

そうですね。来ていただく生徒さんにこの空間を含めて楽しんでもらいたいので、生活感を出さないように気をつけています。
日常の場所だけれど、部屋を片付けたり、クロスをかけて花を飾ったりすれば、いつもとはまた違ったゆっくりとした空間が作れるということを、伝えられたらと思っています。

―永盛さんの教室に来るとお菓子作りだけではなく、それに関わる全てが吸収できるんですね。

そう思っていただけるとうれしいですね。テーブルなどに飾る花は、基本的に庭に咲いているもので、インテリアも毎月その季節に合うような模様替えをしています。こうした演出が、生徒さんとの会話を作るきっかけになり、インスピレーションが沸くことにも繋がります。生徒さん同士でも、そこから発展して情報交換ができる、交流の場になればいいなと思います。



 自分が考えた+αを楽しんでもらいたい 

―このお仕事をしていて、大変だと感じるところは?

お菓子作りだけでなく、花のアレンジや、テーブルセッティングについてもよく質問をされるので、多方面に渡る知識を必要とします。もちろんお菓子のレシピも、より簡単でおいしくなければならないので、常に新しいレシピを考えて、代用できる材料を探しています。気づくと、いつもお菓子作りや仕事のことを考えていますね。

―このようなお仕事は、目指せばできるものなのでしょうか?

誰でもできると思います。誰でもできるけど維持していくには、人と同じ事をしていては続かないでしょうね。ただお菓子を教えるだけじゃなくて、他の教室とは違ったカラーを出していかなければ、結局どの教室に通っても同じになってしまいます。
プラスアルファを考えて、それを生徒さんに喜んでもらえる、楽しみにしてもらえるということが、私は大事だと思います。

―永盛さんは3児の母でもありますが、仕事と家庭の両立は、大変ですか?

やはり大変ですね。でも今までやってこれたのも、家族の協力があったからこそ。家族には本当に感謝しています。自分の好きなことを仕事にできている今が最高だし、これが私の生きがいなんです。「私の生きがいとらないでね」ってよく主人に言うんですが(笑)

―永盛さんの将来的な夢を教えてください。

「料理も教えてほしい」という要望も多いので、一部料理も教室のメニューに取り入れていきたいと考えています。それに応えるためには、自分でも勉強しなければならないので、11月から料理教室に通う予定です。
それと、いずれは子供と一緒に仕事をしたいですね。それが教室という形でなくても、今の仕事で学んだことを生かして、何か形にしていければと思います。

―好きなことを仕事にする秘訣は?

やりたい仕事があったとき、やろうと思えばできるけど、それを実行に起こせる人は少ないと思います。一歩を踏み出すまでには不安がつきものですが、考えているだけでは何も始まりません。ですから、実行できる人になってほしいですね。
でもそれを維持していくためには、努力をし続けないと、結局夢のままで終わってしまうのです。夢を現実にし、継続していくことは大変なことだと思いますが、諦めないでがんばってほしいです。






 

 


インタビューを終えて

それまで普通の専業主婦だった永盛さんが、ふとしたきっかけで洋菓子教室を開くことになったのは、一見、偶然とタイミングが重なった結果のように見えます。しかし、永盛さん自身が「お菓子教室を開きたい」と思わなければ、偶然とタイミングは存在しなかったことになります。それらをチャンスと受け止めた結果、永盛さんにとって今のお仕事は「生きがい」にまでなっているのです。

仕事に限らず人生の中の色々な場面で、自分にとってプラスとなるチャンスはあらゆるところに転がっています。それは日常の何気ない会話の中にも潜んでいるはずです。チャンスを逃さないためにも、常に人との出会いや会話を大切にして、その“何か”を見極めることが大切だと、永盛さんは教えてくれました。

仕事を始めてから、家庭との両立で忙しい毎日のはずなのに、永盛さんはとても生き生きとそれを楽しんでいるようです。これからも私たちの「夢」である、おいしいお菓子を作り続けてください。
それにしても、あー、永盛さんの作ったおいしそうなケーキが食べたくなってきました。ゴクッ(さる子)