『最初は映画の学校に行ったんです』
―このお店をはじめたきっかけは?
・・・きっかけは母親がやっていたから、その店を二代目として継ぐということを主に考えながらも・・・まず東京に出てみて、専門学校に行って。最初は映画の学校に行ったんです。
―映画の?では最初から継ぐ意思はなかったと?
最初は継ぐつもりはなくて、まずは東京に出てみようと。映画が好きだったから、映画の専門学校に行ったんですけれど、映画の世界に入ってみて、・・・自分に合わないわけではないけれど、まあ違うな、と。それでぼんやり一年ぐらいアルバイトしていて、居酒屋さんで働いていたんです。結局、夜昼逆な生活が続いたから・・・その夜昼逆な生活がイヤだった。で、やっぱり昼間の仕事に戻ろうと。そう思ったときに、行きつけの床屋さんに、「あなたはお母さんがやってるんだったら、継ぐのが一番懸命だ」と、そう、飲みに連れてってもらって教えてもらったんです。
映画のほうは半年ぐらい行ってみて、もう映画のほうでは食べていこうとは思わなくなっていたんです。
『その選択、
そこを迷いながら卒業しちゃった』
―それは?
なんでかな?高校を出てすぐ決めろ、ということになってしまっていたわけで。高校生活はぼんやり過ごしちゃっていたので。結局、大学行こうか、専門学校行こうか、就職しようか、その選択、そこを迷いながら卒業しちゃったんですね。で、結局どちらつかずで、で、まあ一番安易な、すぐに入れる専門学校に進むという道を選んじゃった。で結局はそれは合わない。と自分で気づいた、ということですね。
『そのときには・・・床屋さんの道が本当の道なのかってのは、まだ・・・』
―映画の道をやめることには迷いはなかった?
そのときには迷いはなかったですね。ただそこで床屋さんの道が本当の道なのかってのはまだわかってはいなかったんですけれど・・・。
学校に行ってるときには、まだ、なんとなく僕はこの道を進まなきゃいけないのかな?と。やっぱり長男だし、親のあとを継ぐのがいいのかな?とまだぼんやりした、惰性で行っちゃったような感じなんですけどね。
次にインターンに。でインターンが僕の道を決めたんですね。もうここで食ってくぞって言うのを。うん、やっぱりインターン時代です。
『自分にとっての「床屋」』
―インターン時代に何が?
インターン時代に知り合った九州から出てきてる28歳のマスターがすごくいい人で。今のヘアショップキッドって言うのもその人が持ってたお店の名前なんです。
そこで昔の床屋さんじゃなくて、・・・自分のイメージの中にあった自分の母親から考えていた床屋さん床屋さんした形じゃなく新たな床屋さんを作ろうって動きが、お店にあった。
僕はその形でやってこうかな、と。自分にとっての「床屋」を・・・再発見というか見つけたんですよね。
―そこからはまっすぐに?
でも、やっぱり床屋さんっていうのは、何件かあるったほうが良い、という話しを聞いて、マスターに話しをしたら、じゃあ君は少し美容のほうに行ってみたらどうか、と。で、知り合いの美容室に移ったんです。
『ああいうのが欠けてるわけだから僕には。まだその時点では』
―理容師が美容室へ?
まあ、ここで一度理容師をやめたってことになっちゃったわけですね。やめてもう一度一からやり直して美容師の見習い。シャンプーボーイからやり直し。その間に美容の技術、ワンレンとか、そういう美容のテストを受けて。で、自分で納得して2年。そこで美容の勉強を、参考にさせてもらって、で、床屋にまた戻りました。で、そこからはずーっと、やっぱり従来の・・・古い仕事。角刈りとかアイパーとかパンチパーマだとか。ああいうのが欠けてるわけだから僕には。まだその時点では若い人ら相手ばかりでしたから。だからそれを補うために、今度は、ほんとに床屋さんの・・・その、古い老舗みたいなところに入ってで、一からもう一回。
だから結局、一件目の人が「あなたが行く方向を」、僕が行く方向をね、教えてくれたって言うか。結局、美容もやらなきゃいけないし、従来の床屋さんの古い仕事もやらなくちゃいけない、で、幅広くこれからはやっていかなくちゃならない。ま、若い人から・・・子供からお年寄りまで、何でもこなせますよ、と。
『とにかく27までには独立しようと。』
―独立したのは?
で、独立したのは、結局、その、僕の目標は、元のそのキッドのマスターだったので、その人が27才だったから、まあ27才までには、と思っていて。結局、27才の・・・28才まで3ヶ月前ぐらいのとき、とにかく27までには独立しようと。まだ不安はありましたけど・・・でも、そこは、母親がやっていたから、その二代目ってことで。
―じゃしっかりした期限・目標を決めていた、と?
そうですね。とにかくその道を教えてくれたマスターが自分でもそうなりたいと思ってる目標なわけですから。その人の真似ではないけど、・・・まあ、追いつこうと。
―独立してみて?
独立して、働きましたね、すごく忙しいバブル時代。たしかに個人の店、チェーン店じゃなくて、難しいものはありますけどやっぱり人間同士だから、お客さんと、だから面白いのは面白い。やりがいがあります。
『そこがピタっとあたったときに、固定のお客さんに』
―接客で気をつけていることは?
お客さんが求めた髪の長さとずれないように。やっぱりこっちで考えた長さとお客さんの思う長さがずれては・・・そこがピタっとあたったときに、固定のお客さんになってくれると思うんで。
―技術が売り?
そう、うちはそうですね。ま、技術がほとんど、半分以上は占めてます。技術を売りにして考えてる。
でもそれでも技術だけじゃダメで、キッドって名前の由来じゃないですけど
子供からお年寄りまで、やっぱり幅広く話せるように、とは思ってます。今の小学生とか結構しゃべらない子とか多いから、そういう子をしゃべらせる。それで、結局、ずーっと中学生になってま、恋愛の話しもあるだろうし、オートバイの話しもあるだろうしそういうのを全部聞いて、ま、床屋さんのお兄ちゃんみたいな、オジサンみたいな・・・いつまでお兄ちゃんだかわからないですけど・・・そういうノリを目指してるっていう感じです。
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