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This week pick up! 企業の本音 vol.10 (2001/05/30)

□■ (株)シード 黒澤 昭広社長  ■□


JJ 螢掘璽匹気鵑亮厂召陵獲茲浪燭任垢?
黒澤 英語で種(たね)という意味です。種から芽がでて花が咲いてという具合に成長をしていきたいという思いをこめて名づけました。
   
JJ どのようなお仕事ですか?
黒澤 ソフトウエア開発が中心ですが、コンピュータ関連の幅広い業務を行っています。特に中小工場向生産システム、設備監視制御システム、中小規模店舗向け販売管理システムなどに実績があり、得意としています。
   
JJ 上海に事務所があるとお聞きしました。
黒澤 正式には上海連絡事務所となっております。こことは業務提携のパートナーとして取引しています。私が独立する前に勤めていた会社からの付き合いです。当時の上司(専務)と2人で開拓しました。
 
JJ それは何年前のお話なのですか?
黒澤 おおよそ5年前のことです。実は独立はその上海事務所での事業拡大を任されたときに将来性を感じたことがきっかけでした。いまではここひたちなかの本社を拠点にして、上海でもソフトウエア開発を進めるという組織、業務体制をとっております。
 
JJ 独立の仕方としては理想的に聞こえます。
黒澤 そうですね。前の会社ではバンコクにも事業展開していて、私が独立する頃はバンコク を海外展開の中心にするというのが経営方針でした。しかし私は、数年間苦労して開拓してき た上海事務所を手放したくはありませんでした。外国企業との業務提携は、並大抵の努力 ではできないほど難しい。正直「手放すのは惜しい」と思いました。
   
JJ それで上海を黒澤社長が受け継いだのですね。
黒澤 上海の駐在事務所の財産をすべて無償で譲り受けて独立させていただきました。今でも前の会社とは良いお付き合いをさせていただいているので、将来前の会社が中国とのビジネスを再開したいという場合はいつでも喜んでお手伝いしたいと思っております。
 
JJ 海外に仕事を任せるというのは、大変そうですね。
黒澤 文化、習慣、風土の違いがすべて製品の出来具合いに反映されます。その ギャップをどうコントロールするかが最も気を使うところです。例えば中国の人は「正しく使えば 正しい結果がでるソフト作り」で納められる製品だと思っています。一方われわれ日本人は「間違った使い方をしても 親切に動いてくれるソフト作り」を目指します。中国人にとっては完璧な出来栄えでも日本人から 見るとまだまだ不完全ということもままあります。それを、言語のギャップも乗り越えて、なぜその ように作らなくてはいけないのかを理解してもらうまでが本当に一苦労です。
   
JJ やはり共産圏と言うことがきめの細かい機能やサービスを想起させないのでしょうか?
黒澤 政治的背景の違いによる文化の相違が影響しているとも思いますが、中国はまだまだあらゆ る産業が成長過程でプロダクトアウトの発想から脱皮できていないのではないかと思います。 競争による切磋琢磨がマーケットインの発想をつくり、製品に繊細さと思いやりを与えるのでは ないかと思います。日本も一昔前はそう変わらなかったと思います。
   
JJ いまソフトウエア開発はインドやチャイナの方がスキルが高く活躍しているとよく聞きます。
黒澤 そうですね。チャイナ・インドは別格ですがバンコク・フィリピンなどアジア諸国も教育レベル がけっこう高く、優秀なエンジニア、プログラマーを輩出していると聞きます。とくに米国ではそうい った人材の使い方が非常にうまい。シリコンバレーではIC産業はIndia Chinaの略なんていう 笑い話にもならない説があるくらいです。
 
JJ 採用は簡単に出来るんですか?
黒澤 中国は人口が多いのに比例してSE・プログラマーの数も絶対数的に多いのが現状です。そして更に中国人は転職によりキャリアアップを図る傾向が強いです。そのため募集をかけると優秀な人材が相当数集まります。人材市場としては非常に魅力的です。
 
JJ そういった人材を駆使してレベルの高い開発もされているのでしょうか?
黒澤 先ほども申し上げましたように考え方の差を埋め、開発の環境を整えれば、レベルの高いシステムの開発も可能でしょう。
   
JJ ソフト開発にとって適正な人材、必要とされる能力はどのようなものですか?
黒澤 基本的にはルールに従い論理的に物を考える能力と協調性だと思います。 しかし、人によっては個人のアイディアで専門分野のプログラムを開発していくほうが得意という方もいてそれぞれの才能と 適性を活かせばいいと思います。チームで設計するときはコラボレーションの能力が必要ですし、 個人のアイディアが素晴らしい製品を生むこともあります。ただ、コンピュータシステムを考えることが好きではないときついかもしれません。
 
JJ 終業時間はフレックスタイムを採用されているとか?
黒澤 弊社は自由すぎるぐらいフレックスです。人によっては夜自宅に帰ってから研究をしている 人もいますよ。アイディアや発想というものは時間の拘束がありすぎると貧弱になりがちです。能力 のある人は時間に拘束される必要はないと思います。重要なことは納期を守ることと品質ですが、 それが守られていれば最小限の管理にとどめるのが私のポリシーです。私自身も拘束を嫌い、 自由な開発環境をずっと望んでいましたから、それが反映されていると思います。
 
JJ
ご自身の経験が生かされているのですね。
黒澤 人に言わせるといいかげんだと指摘を受けることもありますが本人の持ち味を生かし 良い仕事ができればよいと信じています。それが本人の幸せであり、結果いい仕事に結びつくと考えています。
   
JJ 今後の御社のビジョンを教えてください。
黒澤 社員全員、多くの人と付き合っていってほしいと思います。特に海外のエンジニア達と。海外とのコラボレーションを 充実させ、会社の独自性を高めていきたい。私は利益に関してはかかわった人全てに配分したい と考えています。自由とオリジナリティを大切にする企業でありつづけたいと思います。
  □インタビューを終えて
  言葉のギャップ、文化のギャップを乗り越えながら、海外企業と共同で仕事を進めるスタイルは グローバルエコノミーの申し子のようなものですが、日本ではなかなかそれを貫徹できる企業は 少ないと聞きます。それは日本の文化の異質性ゆえと言われていますが、その異質性が日本の 強みである以上、それを捨てるわけにもいきません。文化の相違は、最初は相当かったるく無駄な仕事を派生的に生み、そのマイナス面しか見えないと思いますが、その苦労を積み上げていくと、ある時点からその差異性がプラスに転じる時がくるものです。そしてそれを成し遂げた企業は他に真似できない強さをもつはずです。 その過程はそれぞれの企業独自のプロセスであり、真似の出来ないものだからです。真似できな いプロセスの積み上げが本当の企業の強さであり、真のナレッジと言えます。それを黒澤さんは 直感的に実現しているのではないでしょうか。 上海は遠いですが、優秀な人材の宝庫と聞きます。日本人には無い知恵や想像力を開発に活か し大きな成功を納められる日は近いでしょう。こんな企業でこんな社長のもとで働いてみたい・・・ そうは思いませんか?
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