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----- ジングコーポレーション有限会社 代表取締役 軍司 直樹 -----


出身

水戸市
生年月日
1972年5月28日
血液型
AB型
学歴
17歳で、茨城東高等学校を中途退学
職歴
水戸市内の飲食店で数年間勤務
趣味
飲む、食べる、旅行、車
自分の性格
楽天家
影響を受けた人物など
自分以外の全ての人と、色々な本


設立

1995年11月
業務内容
飲食店経営
〜伊太利亜食堂タベルナガム、ガムボールバー、ぢどりや桐、常陸の国穴とら屋
連絡先
茨城県水戸市末広町2-2-29
TEL&FAX:029-225-6918 E-mail:gumball@sunshine.ne.jp
 
学校に通っているのが時間の無駄だと思った

━ 30歳という若手で、水戸市内で次々と話題の飲食店を出店されている軍司さんですが、現在は4店舗を経営されていますね。

23歳で「ガムボールバー」、次が「伊太利亜食堂 タベルナガム」、29歳で「ぢどりや桐」、そして今年の1月には「常陸国 穴とら屋」を出店しました。

━ 元々独立志向が強かったのですか?

そうですね。小学生の時に父親が破産して、自分と向き合うのが早くならざるをえなかったんです。お金とはなんぞや、幸せとはなんぞやというのをいつも考えていました。おまけに反抗期で、親の家で生活するのが嫌で、とにかく家を出たかった。
どうせこのままボーっと高校を卒業しても、官僚や大手企業に入れるわけがない。時間の無駄だと思ったので、学校を辞めて家を出て、絶対自分の店を持つと決めて飲食業に入りました。店を持ってからが、本当のスタートだと思っていましたね。

━ 料理人として飲食業界に入って、そこで経営を勉強したんですか?

最初はバーテンダーです。もちろん、調理も経験しました。経営はほとんど書籍などでの、独学です。

━ 一番最初のお店「ガムボールバー」を出店したきっかけは?

知人と新規出店する計画があり、その店の店長になる予定だったのですが出店の話自体が流れてしまったんです。二人目の子供が生まれることになって、当時の給料では生活がきつかったし、それなら自分でやろうと店を持つことにしました。でもお金がなかったので、弟と2人でペンキを塗ったりして、ほとんど手作りです(笑)

━ 4店舗とも、水戸でかなりヒットしていますよね。仕掛け作りはどうやって考えるんですか?

基本的にはどのお店をやる時も、自分がお客で行きたい店を作るんです。お客側の視点でいることですね。内装も料理も、いい意味でお客様の既成概念を壊していくようにアイディアを出しています。楽しさをお店にちりばめたいと常に心がけているので、一風変わったお店が多くなったのでしょう。

━ 料理も魅力的ですが、今年オープンした「穴とら屋」をはじめ、店内の内装がおもしろいですね。プロデューサーがいるのでしょうか?

全部自分で考えて作っています。僕が下手なりに絵を描いて、イメージを建築士に伝えます。そういうのが好きなんですよね。
穴とら屋は、築60年経った和菓子屋の建物を生かし、古い民家を解体して保存しておいた木材を使って演出しました。間口が狭くて縦長なので、それが逆に隠れ家のようなおもしろいものになりました。ぢどりや桐の壁一面には、古い紙が貼ってあるんですけど、僕のひいおじいさんが手習いした書なんです。店内の置物ひとつとっても、自分で厳選して選んだものばかりです。

━ 軍司さんは経営の才能だけでなく、アイディアマンでもあるんですね。情報源はどこから?

うーん、しいて言えば、飲む・食べる・あちこちへ旅行へ行くことでしょうか。あとはそういうアンテナをくもの巣みたいに張っていれば、その辺の道を歩いているだけで、ひっかかってくるものです。

接客マニュアルはなし。スタッフの個性を重視

━ 人材についてお聞きしたいのですが、4店舗だとスタッフも結構な人数になると思います。採用基準はありますか?

うちのスタッフほとんどが、お客様として来たことがあって、このお店で働きたいと思って電話をかけてくれるんです。求人誌などを見て電話してくれた方にも、「お客様として来ていただいて、いいなと思ったらもう一度電話を下さい」と言っています。
そうして採用したスタッフには、「あなたが素晴らしいと感じたことを、お客様にして下さい」と言ってるんです。「やってもらいたいこと」と「やってはいけないこと」というものは最低限ありますが、それ以外は自由に、ご両親や大切な人が来た時のあなたなりの接客をお客様にしてほしい、と話しています。

━ では、接客のマニュアルはないのですね。

スタッフ各自の個性があるから、マニュアルで縛るよりは、好きにやらせたほうがいいと思います。社員でもアルバイトでも、スタッフにはどんどん権限を与えてしまうのが、僕のやり方。それで失敗したとしても、ミスがお客さんに行く前に、僕や店長がストップすればいいんです。

━ それはなかなか、勇気のいることですよね。

そういう余裕を、僕らは常に持っていなければならないと思っています。スタッフに任せたからには、腹をくくって、僕らも一心同体ですよ。でないと、怒られるのが怖くて、部下は上司の顔色を見ながら仕事するようになります。それじゃ本末転倒でしょう、お客様の顔を見なければサービスではないですからね。
成功したら本人の自信になるし、失敗しても上が押し付けたのではなく自分で考えた末のことですから、学ぶこともいっぱいあるでしょう。本人なりにベストを尽くせばいいんです。

━ この仕事の魅力は?

毎日色々なお客様がいらっしゃって、うちのサービスを喜んでくれれば、「おいしかった」と言ってくれます。そのお客様の笑顔を、自分のがんばりによって見られる所が最高です。その人の人生において、1ヶ月のうち2時間でも3時間でも楽しい時間を演出してあげることができた、と実感できた時がうれしいですね。

━ そんな居心地の良いお店をつくるために、心がけていることはありますか?

「今日は暇だったね」なんていう会話がスタッフのなかであると、「暇というのはない!」と言うんです。お客様とは常に店対一の接客をするわけですから、何人の来店があろうと、お客様との関係は変わっていないわけですよ。

たとえば通常の半数の来店客数だったとします。半数なのですから商品の提供スピードも接客にしてもミスは起こりにくいのです。いつもよりも気にかけてあげられたり、会話も充分に出来ます。逆に忙しかった時の方がミスはあるのです。
目が回るような忙しさの中で、果たしてお客様に完璧なサービスができたのだろうか?もしかしたら、料理が来るのが遅いとか、サービスが悪いわ、と思う人もいたかもしれない。明日以降、来店客減になる種をまいたことになるのです。だから売り上げとか客単価に一喜一憂するのではなく、その日1日の何人お客様の笑顔が思い浮かぶか、それをバロメーターにしろと言います。
売り上げがあっても「勝ってかぶとの緒を締めよ」で、なくても「今日はいいサービスが出来たかな?あのお客様はまた来てくれるだろう」となるべきです。そういうことが毎日の仕事の中で、大事なことです。

水戸と一緒に、お店も変化しながら成長していきたい

━ 現在水戸で店舗展開されていますが、これからの出店計画は?

物件次第ですね。本当は東京で「ぢどりや桐」をやってみたいんだけど、台湾やタイでの出店というプランも同時進行で検討しているところです。

━ ぜひ茨城で出店して欲しいですが・・・。

うーん、どうなるかわからないですね。現在の状態は、実はものすごく経営効率が悪いんですよ。同じお店をパッケージングして各地でやれば効率がいいのですが、うちの場合は、全く違うコンセプトのお店が4つなので、メニューも技術も4つ必要です。まず大手はやらないでしょうね。

━ 水戸近郊で出店するには、違うコンセプトのお店を新たに考えることになるんですね。

今は様々な業態のノウハウの蓄積をする時期だと思っていますが、あまり違う業態を増やすのはさらに大変なことに・・・でも多分やっちゃうと思うんですけどね(笑)色々アイディアもあるんですが、いずれにせよトレンドに完全に乗ってしまうと、飽きられてしまいます。
例えば、ぢどりや桐は単なる和風ダイニングバーっぽいけれど、あそこは地鶏がうまいんだよね、という「地鶏」という食材の柱があると、和風のブームが過ぎても全然こわくない。食材を柱にすると、老舗に向かって近づいていくから、むしろ伝統が裏づけになり、30年経つと「水戸で地鶏だったら桐、鴨だったら穴とら屋でしょ」となるかもしれない。単純に「スクラップ&ビルド」というのは地方都市では難しいんですよ。それに経営ということだけでなく「地産地消」や「身土不二」という考え方もあります。

━ お店を育てて行きたいと、お考えなんですね。

そうです。水戸という街がどう成長していくかにもよりますけど、お店も変化しながら、ちゃんと残って行きたい。開店当時から通ってくれている独身のお客様が、結婚して子供ができて、子供が酒飲みに来るようになったときにも、この店はお袋の頃から来てたんだ、というふうになって欲しいじゃないですか。
規模の拡大を目指すより、どの店も、変わってはいけないところと変わらなくてはいけないところとを考えながら、地域に愛されるような店に育てていき、地域に育てられていく。そんなふうにして行きたいですね。

■インタビューを終えて

おいしいものが好きな方なら、軍司さんのお店に一度は足を運んだことがあるかもしれません。かくいう私も、お店のファンの一人なので、取材に伺うのがとても楽しみでした。
Tシャツ姿のラフな格好で現れた軍司さんは、「え、写真撮るの?こんな格好なのに・・・」と照れつつ、経営の話になるときりっと表情が変わり、たちまち経営者の顔になります。たまに覗かせる、いたずらっ子のような笑顔が少年のような方でした。

厳選した食材を使った料理、心地よいBGM、選ぶのが楽しくなるような豊富なアルコール類、そして居心地の良いインテリア・・・この全てのこだわりは、「お客様の視点でいる」といういつもニュートラルな、一人の若手経営者のアイディアだったとは、驚きです。これからも、私たちを楽しませてくれるようなお店を、次々と生み出してくれるに違いありません。

ちなみに、「ぢどりや桐」の地鶏棒が大好きな食いしん坊の私は、次は軍司さんがどんなおいしいものを創り出してくれるのかしら、と今から首を長〜くして楽しみにしています。(モリ)