| JJ |
まず仕事内容について教えてください。 |
| 田中 |
ファッション関連商品の販員です。私の勤務する(株)アットワークは、水戸市
内にメンズ、レディース合わせて7店舗あります。その中のMusty New(マスティー ニュー)のショップスタッフをやっております。レディースメインの店です。 |
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| JJ |
入社何年目ですか。 |
| 田中 |
短大卒業後すぐ入社し約2年目経ちました。 |
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| JJ |
2年前といえば一般的には就職難でしたよね。就職で苦労されたことはありますか? |
| 田中 |
けっこうすんなり受かったので苦労は感じませんでした。自分のやりたい
仕事だったので一本釣りでしたし。ここが落ちていたら、他を探したのかも知れ ませんが、水戸ではここと決めていました。 |
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| JJ |
その決心が面接でも出ていたのでしょうね。ところで選んだ理由は何ですか?
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| 田中 |
最大の理由は店員さんへの憧れとお店の雰囲気です。私が入社したころは、
お店が今のお店の近くの別の場所にあったんです。 |
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| JJ |
こぢんまりとしたいい雰囲気でしたよね。 |
| 田中 |
いかにもセレクトショップという感じのかわいらしい雰囲気でした。 |
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| JJ |
セレクトショップって買い物するのに気構えちゃったりしませんか?
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| 田中 |
確かに、一般的なセレクトショップは、「ドウダ、私がモードそのものだ。」
って感じで迫ってくるし、こっちも構えちゃいますよね。押しに負けて、説得され て、いらないものを買わされてしまったり。それに「おたくうちに買い物に来るな
らこの程度の知識は常識よ。勉強してからきてね。」という風に話し掛けられると、 こっちが恐縮しちゃって頭真っ白になっちゃいますよね。緊張します。そういうモ
ードおたく風、ファッション至上主義のような雰囲気はあまり好きではありません。 |
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| JJ |
Musty Newは違ったんですね。 |
| 田中 |
はじめからアットホームな雰囲気だったんです。全く気を使うことはなかっ
たし、構えも必要なかったんです。相性が良かったんでしょうけど、「こういう風 な接客なら私もしたいな。いい店だな。」と直感的にくるものがあって、面接を受
けたんです。私は、自分がその仕事についたときのことを想像して、不自然な感じ のする仕事は選びたくないと思ってます。それに仕事を始めても続かないと思うのです。
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| JJ |
願望より、現実を重視するということですか? |
| 田中 |
そうではなくて、自分のイメージできることが自分にあっているという意
味です。それが願望になればいいのです。 |
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| JJ |
高い目標を掲げても、努力だけでは実現できないことってありますよね。
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| 田中 |
フランス人が日本に来て、総理大臣になろうとしても無理があるでしょう。
自分が細かくイメージできることは必ず実現できます。 |
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| JJ |
はじめから仕事の現場が想像できたということで、理想と現実のギャップは少なか
ったのではないですか。 |
| 田中 |
そうですね。服のコーディネートには興味があったし、自信もありました。
会社で基礎的な知識の研修もしました。仕事は毎日楽しく、ギャップを感じたことは ありません。 |
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| JJ |
でも、ファッションビジネスは変化が早く情報収集が大変でしょう。
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| 田中 |
流行は日々変わります。新しいトレンドを次々吸収するには、努力と研究が
常に必要です。ファッション誌を見る視点も仕事をする前とはだいぶ変わりました。 マーケティング的な視点で読むと、紙面から今まで感じなかった情報が入手できます。
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| JJ |
情報入手のため特に気を使っていることはありますか。 |
| 田中 |
週に1度、トップをまじえたクラスミーティング、月に1度店舗ごとのミーティングが
あるのですが、そのときに自分なりに店舗の改善の提案を出せるよう、日頃からな るべく多くの情報に触れるよう努力をしております。雑誌、業界紙、テレビ、お客
様の声、それから実際の街の情報。東京に買い物に行ってもそういう視点で街行く 人を見ます。 |
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| JJ |
会社ではそういったことをどんどん提案できる仕組みがあるんですか。
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| 田中 |
新しい情報、知恵は、店舗間で共有され、会社の発展、改善の材料となります。
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| JJ |
まさにナレッジマネジメントですね。東京には結構行くのですか。
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| 田中 |
毎週木曜日は定休日なのですが、ほとんどは東京のメーカーに商品を仕入れに
行きます。 |
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| JJ |
一日に何社くらい回るんですか?
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| 田中 |
多い時は、10社位回ります。 |
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| JJ |
10社ということは10ブランド以上の服を選ぶということですね。それはヘビーで
すね。 お店ではどんなブランドを扱ってるんですか? |
| 田中 |
お馴染みの「ナチュラルビューティー」や、今旬の「マークジェイコブス」
「サイラス」「コズミックワンダー」などモードからエレガント・シックまで幅広い です。 |
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| JJ |
都内のセレクトショップのチェックもされるんですか? |
| 田中 |
仕入れに行った時、必ず時間があれば気になるショップ、人気のショップを回ったりします。 |
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| JJ |
勉強になりますか? |
| 田中 |
東京はニューヨーク、パリ、ミラノの情報がリアルタイムなので、やはり
トレンド的には勉強になります。若い才能のある店員の感性からも刺激を受けます。 たとえば、接客の仕方、着こなし、商品の配置など全部研究の対象ですね。
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| JJ |
仕入れをして、店を回って相当疲れるでしょう。
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| 田中 |
自分の好きなことですから。けっこうハードですが、楽しいです。 |
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| JJ |
仕事が自分の楽しみになっていて、努力が苦にならないというのは理想ですね。
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| 田中 |
自分でも有難いことと思ってます。自分のアイディアがビジネスにダイレクト
に活かせるというのは幸せなことです。 |
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| JJ |
ところで、接客をするうえで気をつけていることはありますか。
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| 田中 |
それぞれのお客様の趣味、指向を大切にします。それをベースに髪型、肌の色、
スタイル、キャラクターなどの情報を総合して、似合う服をイメージします。私の 提案で、「新しい服の組み合わせが見つかった。」「こんな色も意外に自分に似合
うんですね。」と感じていただければ、それ以上の喜びはありません。自分を発見 する手助けをするのが私たちの仕事です。
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| JJ |
お店にはたくさんの人がいらっしゃると思いますが、顧客管理などはどうされてま
すか。 |
| 田中 |
お客様の個性、好みを大切に自分のお客様の次のシーズンのコーディネートの
提案をいつも考えておすすめしています。 |
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| JJ |
街を歩いているとき挨拶とかされませんか?
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| 田中 |
時々あります。 「覚えててくれたんだあ」ってすごく嬉しくて感動します。この
仕事をやってて良かったと思う瞬間です。でもいつも気が抜けないかも。 |
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| JJ |
今後の仕事の目標は?
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| 田中 |
まだ入社して2年、まだまだ勉強中です。展示会などでもっとたくさんのこと
を見てどんどん吸収していきたいです。ファッションを通じてお客様に新しい自分を 発見していただける提案をしつづけていきたいです。
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□インタビューを終えて |
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カリスマ店員が取りざたされる昨今、ショップの店員は、憧れの職業。いつもきれい
な服が着れていいなあ、と確かに表面的には思われがち。でも実際のお店の仕事は ・・・シーズンごとの品揃え計画、仕入れ、店頭のディスプレー、販売促進、在庫
管理、接客、顧客管理、クレーム処理、毎日の整理整頓、在庫処分など、プロ意識 がないととても勤まらない仕事です。ストレスのたまる仕事なので人間関係も複雑。
人の入れ替えの多いのもそういう背景があるからでしょう。ファッションビジネス をしていて、実際に自分が仕入れた洋服が売れたときの喜びは、何ものにも勝るとは
思いますが、たとえば、もし売れ残ったらと思えば思い切った服は仕入れられなくな る。そうすれば何の変哲もない面白みのない店になってしまいます。コーディネート
やトレンド提案もお客の好みに大きく評価が左右され、絶対ということはない。時代 の先端を駆け抜けるファッションビジネス特に特定ワンブランド展開でなくコーディネイト重視で複数ブランドの取り扱いをするセレクトショップは、そういうハードで不安定な仕事です。だから、常に勉強、研究が必要、そして本当に好きでなければできません。
田中さんは、以前から自分のコーディネートの才能に自分で気づいていました。何よ りお洒落が好き。そして、それだけでなく自分にとっての理想の店についてのイメージ
もあった。自分が好きな世界だからこそ、自分を喜ばしてくれるサービスをしてくれ る店が最高のお店という価値観があったのです。えらいなと思うのは、現場を見て、
自分の働いている姿を想像して大丈夫だと確信して仕事を選んでいる。仕事選びの 基本ができてます。そんな彼女を会社が落とすはずがありません。ここに就職と仕事
の極意があります。 強調したいことは「テクニック」ではないということです。仕事探しは恋人を選ぶよ うなもの、好きで一緒にいたい、相手を良くしてあげたいという気持ちが自然におこ
るから恋人との関係も長く続く。テクニックではないのです。そうすれば田中さんの ように『大変、だけど楽しい』という仕事との最高の付き合いができるようになるの
です。以前山本耀司がヴィム・ベンダースの映画の中で「集中してすべてを忘れられ る。それが幸せ」とうようなことを言ってました。ものごとの本質ってそういうこと
です。田中さんすばらしいインタビュー本当にありがとうございました。
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