● 出身:

茨城県
● 血液型: O型
● 学歴: 水戸一高卒〜成城大学文芸学部文化史学科卒
● 職歴: (株)東急文化村企画運営部(オーチャードホール担当)〜リヴァーサイドスタジオ(ロンドン)〜水戸芸術館ACM劇場(企画制作担当)
● 趣味: 旅行
● 自分の性格は?: 短気なおっとり坊
● 影響を受けたのは?: 師と仰ぐプロデューサーが一人います。本では「ごんぎつね」



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■社名 水戸芸術館
財団法人水戸市芸術振興財団

■ご本人の
仕事内容

ACM劇場で行う公演の企画・演目の選定など。そして、公演が成功するように人と時間と予算などの「環境」を整えるのが仕事だと思ってます。当たってるかな。
どうしても演劇の仕事がしたかった

 水戸芸術館での長山さんのお仕事を教えてください。

ACM劇場で行なわれる演劇公演の企画、演目の選定などをしています。作品に関わる人々を揃え、スケジューリングなど時間的なセッティング、それに伴う必要な予算等の管理をします。でも、ただ機械的に右から左へとセッティングをしていくだけじゃなくて、作品に関わる一員として、求められればお芝居の内容についての意見や感想も言えるようにしたいと思って、仕事をしています。

 大学を卒業されてから、ずっと演劇に関わるお仕事をされているんですか?

在学中からアルバイトでこの仕事をしていましたし、ちょうど卒業と同時に水戸芸術館がオープンするという時期だったので、タイミングよく就職することができ、コンサートホールを担当しました。
でも僕は、どうしても演劇に携わっていたいという想いがあり、劇場設備もある、東京の複合文化施設『東急文化村』に転職することにしました。だけど、そこでも担当は音楽ホールのオペラ制作。今思えばオペラもお金がかかって、なかなか上演できなくなっているし、貴重な体験をたくさんさせてもらったんですが、やはり隣に劇場がある施設だったので、「なんで僕は演劇の仕事をやっていないんだろう」って考えるようになってしまったんです。

 どうしても演劇の仕事に関わっていたかったんですね。

そうですね。だから東急文化村を辞めて、一度自分自身をリセットする気持ちで、イギリスに行くことに決めたんです。ロンドンにある、リバーサイドスタジオという小さな劇場のスタッフとして、一年くらい仕事をしていました。

演劇の本場、ロンドンへ

 なぜイギリスを選んだのですか?

ロンドンは、昔から演劇が盛んですから。劇場はとても古く歴史があります。演劇を見るということは、ロンドンの人々にとって生活の一部で、その人の人生を決めてしまうような力さえあります。演劇が人に与える影響は大きいのだと、感じることができる場所です。

 ではやはり、そんな演劇の本場であるイギリスに、昔から憧れがあったのですか?

日本では優秀な演奏家なのにウィーンに行って勉強したいとか、ミュージカルを目指している人がいつかブロードウェイで踊りたい、とかよく聞きますよね。それぞれの本場にはたくさんの人や観客がいて、その人々はたくさんのものを見てきた質の高い、厳しいジャッジの目を持っています。僕も、そういう空気の中に自分を置いて鍛えられたい、演劇について集中して考えることで自分のことを考えたい、と思っていたかもしれません。

━ 日本ではまだ、演劇に対する関心は低いのでしょうか?

関心がとてもある人と、全くない人に分かれているかもしれません。学校での教育を例にとっても、何かを見る、そして見たことについてみんなで話し合う・・・そういった授業は、非常に少ない気がします。だから、日本人は感想を言い合うことが上手ではありません。ただ見て「面白かったから終わり」ではなく、見たことについてみんなで話し合うのは、実は楽しいことで、とても大事なことなんです。そして話し合うこと自体が「演劇」に近いことなんですね。それが習慣になれば、演劇もいろいろな角度から見ることができるようになり、日本での演劇も変わっていくんじゃないでしょうか。
だから日本に帰国して、芸術館の方から「水戸芸術館から演劇を広げていきたい」というお話を聞いた時、ぜひ一緒にやってみたいと思いました。そして再び芸術館で、演劇部門の仕事をさせてもらうようになったんです。

ACM劇場の特徴を生かした公演を考える

━ 長山さんが仕事をする上で、難しいと感じることは?

劇作家や演出家、役者の頭の中にしかないものを、上演する形にして、現場とお客さんの間をうまくつないでいくのが仕事な訳ですが、それが難しくもありますね。チケットを買ってくれたお客さんの数ヶ月先の時間を、いかに有意義なものにできるかが勝負だと思っています。
単純に東京で流行っているお芝居を持ってくれば、お客さんが喜ぶわけでもないし、いいものだからって、人が見たがるとは限らない。「いいお芝居らしいけど、そんなに見たいと思わない」という事実が、一方ではあるということをいつも考えています。

 演目の選定をする時は、どのようなところに気を使いますか?

芸術館のACM劇場は、12角形の劇場で、舞台を中心に円形を描くように3層の客席を配置していて、大きくないけど変わった特徴があります。その特性を活かして、ここで見るからこそ意味があり、価値があるものを公演していきたいですね。「このお芝居は東京で見るよりも、水戸で見たほうがずっといい」というふうにお客さんに思ってもらいたいんです。お客さんが普段なんとなく感じているけど、うまく言葉とか形にできなかったことを、お芝居を見て「ああ、これだな」って、ポンと手を打てるように、うまく引き出せたらと思います。演劇にはそういう力があると信じているので。

 長山さんの演劇に対する情熱が、本当によく伝わってきます。休日も、お芝居漬けになっていそうですね。

東京や大阪にも行って、よく芝居を見ていますね。旅行が好きなので、まとまった休みが取れれば外国に行ったりするのですが、そこでもお芝居は見ています。まあ、最近は忙しくてまとめて休むことはできませんが・・・。

 好きなことが仕事になっているんですね。

だから、「いいですね」ってよく言われます。それは間違っていませんが、やはり仕事として演劇と付き合っていくには、大変なことも、やりたくないこともたくさんあります。でも、それは全部自分が好きなことの畑にあることだと思うと、どんなにハードでも苦にならないし、全然疲れたりしないから不思議です。疲れている暇なんかないというか。

 それほどまでに、お芝居を好きになったきっかけは?

子どもの頃から、よく劇場に連れて行ってもらいました。ざわざわした場内が、時間になると暗くなり、静まり返って演劇が始まる・・・そんな感じが好きでした。子供ながらに、終わってしまうのがとても悲しくて、よく声も出さずに泣いたりしていたようです。
あと、これがきっかけなのかは分からないんですけど、小さい頃両親がよく本を読んでくれていました。子ども用の絵本ではなくて、両親がその時自分で読んでいる本を読んでくれるんです。子供の僕にとっては、難しい小説だったりして意味は分かりませんでしたが、言葉と声は印象に残っています。

演劇を見ることが日常的になって欲しい

 長山さんにとっての演劇の魅力は?

音楽や絵など、僕がもともと好きなことや興味があることが、演劇には全部含まれているんです。ある意味、無駄が無いということです。じゃあ、なんで映画じゃないのかっていうと、建物、建築、その空間がまた好きなんです。劇場が違うと、その空間によって演出的にも変えなければいけないので、演劇にとって場所というのは重要なポイントです。
それに、実際に人が動いているというライブ的なところ、自分を剥き出しにしなければできない演劇に、一生懸命取り組んでいる人の姿を見るのも好きですね。

 水戸という地での演劇に対する希望はありますか?

「水戸でお芝居をしたい」と、世界中の人がお芝居を作ってくれたらいいですね。また、水戸の人にとって、演劇を見るということが敷居の高いものでなく日常的になって、質の高い観客だと言われるようにもなってもらいたいです。そして、演劇を見たことがない人がぶらりと水戸に遊びに来た時、たまたま芸術館の劇場での公演を見て、「すごい」と思ってくれて、それが演劇を好きになるきっかけになったらいいですね。

 人々の中にある演劇の存在感みたいなものがもっと大きくなるといいですね。

そうなるにはきっと、水戸という街に限らず、どこでも一世紀くらいかかってしまいますよ。ウィーンだって何世紀もかけて音楽家が集まって音楽の街になったわけですし、もっとたくさんの時間とエネルギーが必要でしょうね。だから僕も、その片棒を担ぐうちの1人になれるように、これからもこの仕事をしていきたいと思っています。


□インタビューを終えて

演劇の中で舞台に立つことができる人はごく限られた人だけです。舞台に立つ彼らは、舞台裏の多くの人たちの支えがあるからこそ、安心して堂々と演技をすることができるのですね。長山さんも裏で舞台を支える一人として、演劇を好きな人間として、一人でも多くの人に演劇の素晴らしさを伝えていくために、一生懸命に仕事に取り組んでいます。長山さんの演劇に対する熱いエネルギーは、これからも変わることはなく、その思いはきっと人々の心を動かすことでしょう。いつか水戸が、世界中の人々が演劇をもっと近いもの、生活の一部のように思う存在になったのなら、世界はもっと平和になって、人々はより豊かな人生を送れるのではないでしょうか。
季節は芸術の秋です。演劇を見たことがある人もない人も、ぜひ足を運んでみましょう。(猿田)