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━ 長山さんが仕事をする上で、難しいと感じることは?
劇作家や演出家、役者の頭の中にしかないものを、上演する形にして、現場とお客さんの間をうまくつないでいくのが仕事な訳ですが、それが難しくもありますね。チケットを買ってくれたお客さんの数ヶ月先の時間を、いかに有意義なものにできるかが勝負だと思っています。
単純に東京で流行っているお芝居を持ってくれば、お客さんが喜ぶわけでもないし、いいものだからって、人が見たがるとは限らない。「いいお芝居らしいけど、そんなに見たいと思わない」という事実が、一方ではあるということをいつも考えています。
━ 演目の選定をする時は、どのようなところに気を使いますか?
芸術館のACM劇場は、12角形の劇場で、舞台を中心に円形を描くように3層の客席を配置していて、大きくないけど変わった特徴があります。その特性を活かして、ここで見るからこそ意味があり、価値があるものを公演していきたいですね。「このお芝居は東京で見るよりも、水戸で見たほうがずっといい」というふうにお客さんに思ってもらいたいんです。お客さんが普段なんとなく感じているけど、うまく言葉とか形にできなかったことを、お芝居を見て「ああ、これだな」って、ポンと手を打てるように、うまく引き出せたらと思います。演劇にはそういう力があると信じているので。
━ 長山さんの演劇に対する情熱が、本当によく伝わってきます。休日も、お芝居漬けになっていそうですね。
東京や大阪にも行って、よく芝居を見ていますね。旅行が好きなので、まとまった休みが取れれば外国に行ったりするのですが、そこでもお芝居は見ています。まあ、最近は忙しくてまとめて休むことはできませんが・・・。
━ 好きなことが仕事になっているんですね。
だから、「いいですね」ってよく言われます。それは間違っていませんが、やはり仕事として演劇と付き合っていくには、大変なことも、やりたくないこともたくさんあります。でも、それは全部自分が好きなことの畑にあることだと思うと、どんなにハードでも苦にならないし、全然疲れたりしないから不思議です。疲れている暇なんかないというか。
━ それほどまでに、お芝居を好きになったきっかけは?
子どもの頃から、よく劇場に連れて行ってもらいました。ざわざわした場内が、時間になると暗くなり、静まり返って演劇が始まる・・・そんな感じが好きでした。子供ながらに、終わってしまうのがとても悲しくて、よく声も出さずに泣いたりしていたようです。
あと、これがきっかけなのかは分からないんですけど、小さい頃両親がよく本を読んでくれていました。子ども用の絵本ではなくて、両親がその時自分で読んでいる本を読んでくれるんです。子供の僕にとっては、難しい小説だったりして意味は分かりませんでしたが、言葉と声は印象に残っています。

━ 長山さんにとっての演劇の魅力は?
音楽や絵など、僕がもともと好きなことや興味があることが、演劇には全部含まれているんです。ある意味、無駄が無いということです。じゃあ、なんで映画じゃないのかっていうと、建物、建築、その空間がまた好きなんです。劇場が違うと、その空間によって演出的にも変えなければいけないので、演劇にとって場所というのは重要なポイントです。
それに、実際に人が動いているというライブ的なところ、自分を剥き出しにしなければできない演劇に、一生懸命取り組んでいる人の姿を見るのも好きですね。
━ 水戸という地での演劇に対する希望はありますか?
「水戸でお芝居をしたい」と、世界中の人がお芝居を作ってくれたらいいですね。また、水戸の人にとって、演劇を見るということが敷居の高いものでなく日常的になって、質の高い観客だと言われるようにもなってもらいたいです。そして、演劇を見たことがない人がぶらりと水戸に遊びに来た時、たまたま芸術館の劇場での公演を見て、「すごい」と思ってくれて、それが演劇を好きになるきっかけになったらいいですね。
━ 人々の中にある演劇の存在感みたいなものがもっと大きくなるといいですね。
そうなるにはきっと、水戸という街に限らず、どこでも一世紀くらいかかってしまいますよ。ウィーンだって何世紀もかけて音楽家が集まって音楽の街になったわけですし、もっとたくさんの時間とエネルギーが必要でしょうね。だから僕も、その片棒を担ぐうちの1人になれるように、これからもこの仕事をしていきたいと思っています。
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