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◆◇◆ 茨城の偉い人:根本正さん -腕時計とマッチから- 2006/05/19 放送

【ポイント】「お酒は二十歳になってから」
Q:さて、今日はどんなお話でしょうか?

A:はい。今回は、茨城のすごい人シリーズで、根本正(ねもとしょう)さんの紹介です。

Q:えーと...誰なんでしょう?

A:そうですね、個人名として有名なわけじゃないですけれど、「お酒は二十歳になってから」って今ではあたりまえのこととして誰でも知ってますよね?

Q:それは、もう常識ですよね。じゃ根本正さんは、お酒の年齢制限をつくった人なんですか?

A:そうですね、この根本さん、1851年に現在の那珂市に生まれた方で、職業としては国会議員です。けれど国会議員でいろんな功績を残した、というだけなら本当に「偉い」人として、すごいお話、というか、身近な感じじゃなくなっちゃうんですけれど、この根本正さんの場合、経歴もユニークだし、功績も身近なものなので、今回ちょっとお話してみようかと思ったんです。

Q:はい。あまり偉い方の話だと、そうですね、もう一方的に聞くだけになっちゃいますけど。さて、どんなおもしろいお話なんでしょう?
【ポイント】江戸末期、激動の時代に
A:まずはこの根本さん、さきほど言ったように1851年生まれ。明治になるのは1868年ですから、まだ江戸時代に、農家の次男に生まれました。

Q:江戸時代だから身分制度のある頃ですよね?

A:そうですね、農民ということで身分的には低かったんでしょうけれど、けれど、江戸時代が終わりに向かって混乱してる時期で、ある程度は身分制度も緩んでいたんでしょうね。根本さんは水戸の弘道館にも出入りして水戸学:つまり当時の政治学や経済学を学ぶようになるんですね。

Q:...良く覚えてないんですけど、その頃って「桜田門外の変」とか「天狗党」とか、かなり激動の時代ですよね。

A:そうですね。水戸の中でも武力抗争みたいなことも多かったらしいですね。けれど、そういう時期だからこそ、先を見通すためには勉強が必要だ、と根本さんは考えたんですね。

Q:...すごいですね。今の時代も、働き方のスタイルとか、ビジネスモデルなんていうのもいろいろ動いていて「激動の時代」ですよね。けれど、そこで落ち着いて勉強するってなかなか出来ないような...
【ポイント】腕時計とマッチから
A:そうですね。けれど根本さんのすごいのは、水戸で日本古来ともいえる水戸学を学んだ後に、東京に出て英語を勉強して、さらにキリスト教を信じるようになるんですね。そのあたり、視野が広い、というか、柔軟、というか。

Q:どうしてそんな「やる気」が持てたんでしょう?

A:水戸にいる間に、当時はまだ珍しかった腕時計とマッチを見たことがあったそうなんですね。それで確信しちゃったらしいんです。「西洋の方が進んでいる。それを学びたい。そのためにはまず英語だ。」って。

Q:腕時計とマッチからですか?...でも考えてみると、そういう身近なモノからのひらめきとかってあるといえばありますね。けど、それからちゃんとアクションを起こして勉強するか?っていうと、また大変さはありますけどね。

A:そうですね、根本さんのこのあたりは、本当にすごいところですね。東京では車引きなんかの肉体労働をしながら英語を勉強して、さらにその後、入信したキリスト教の宣教師のつてでアメリカ留学をするんです。アメリカに渡って28歳で小学校入学、30歳で中学校に入学。35歳になってバーモント大学に入学するんです。

Q:30代半ばから大学、しかもアメリカで、っていうのは...ちょっと考えられないですね。今の自分で考えても、仕事でも30代半ばから何かをまったく新しく覚えるとかってなかなか出来ることじゃないですよね。

A:ですよね。よく30代を過ぎるともうその人の型が固まってるとか言いますけど、やれば出来ないことはないんですよね。っていうか私も、今回このエピソードで、自分自身を勇気付けてるとこなんですけどね。

Q:わかりました。私も肝に銘じて、考えを改めます!
【ポイント】38歳で新卒
A:さて根本さんに話を戻すと、38歳になって日本に帰ってきて、いわば新卒ですよね。新卒で外務省のアルバイトなんかをしながら、だんだんその能力が認められて議員になることをすすめられて当選、以後10回連続当選、と、ここからは順調のように見えるんですけど...

Q:そのへんはまさにサクセスストーリーっていう感じですね。でもあらためて考えてみると38歳で新卒って、よくそこまで辛抱強く勉強しましたよね。やっぱり普通あせっちゃうと思うんですけど。

A:そうですね、辛抱強さは根本さんの大きな能力なんでしょうね。その後、国会に20歳以下の禁酒とか禁煙の法律案を出すんですけど、何度も何度も否決されて、名物になるほど何度も提出しつづける、ということがあったようです。

Q:禁酒とか禁煙とかって、どちらかというとそんなに反対もなくすんなり法案成立するのかなっていう気もしますけれど...

A:これは、当時の国家財政の税収、つまり酒税やタバコ税なんかのお金の絡みもあったようで、お酒やタバコの販売を制限するような法律はひどい抵抗にあったようです。これに対して根本さんは、子供の健康や倫理的なところから何度もその必要性を演説したそうなんです。

Q:ちゃんとした理想を持った方なんですね。
【ポイント】自分なりの自分を変える決意を
A:そうですね。それ以外にも教育費の無料化とか国全体の教育福祉に関わる功績も多いですし、地元に関しても水郡線をつくったという功績もあるんですね。大子駅には銅像も建っているそうです。で、これらのすべてのエピソードをお話する時間は残念ながらないんですけれど、やはり、そこに至るまでの過程から、現代の私たちの生き方・働き方を振り返ってみることも必要かな、と思います。

>>未成年の禁酒・禁煙法の父、根本正の生涯「お酒は20歳になってから」はいかにして成立したのか

Q:そうですね。マッチなんかからすぐれたものを認めて、それを学ぼうという決意や、20代後半からの小学校入学とか、時代は違いますけれど、なにか私たちも、そこから勇気をもらって、自分なりの自分を変える決意をしなければ、しなければっていうより、出来るんだ、っていうことを、じっくり考えてみることにします。素敵なお話をありがとうございました。


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